👉大分を歩く

👉大野川を下る第1回
👉大野川を下る第2回
👉大野川を下る第3回
👉大野川を下る第4回
👉大野川を下る第5回

大野川の源流

                     大野川源流の碑      2025-05-15撮影
               国の登録記念物「白水の滝」     2025-05-15 撮影

4月24日にまちづくり協議会(高田校区大野川水害対策協議会)主催のウナギ、アユの放流体験学習を高田小学校4年生と大野川で実施しました。
その体験学習の前に、大野川防災センターで国土交通省大野川出張所所長の大野川についての講話がありました。その時子供達から「大野川はどこから、どこを流れているのですか。」と質問が出ていました。私もちょっと興味を持ち、大野川の源流とルートを調べてみることにしました。
ウナギ、アユの放流体験学習
 20年近く前、「大野川源流祭」が白水の滝の近くで開催され、第7回、第8回と参加した記憶があり、それについて調べると「大野川源流祭」もコロナの時に31回で中止され、3年前から「 陽目の里こども源流祭り」と名称が変更されていました。そして今年は第3回「令和7年度 陽目の里こども源流祭」が5月18日に開催されました。

今回、5日ほどかけて大野川の源流から鶴崎の河口までを下ってみました。
その前に、5月18日に竹田市荻町陽目で開催された「 陽目の里こども源流祭り」から始めたいと思います。

陽目の里 & 「 陽目の里こども源流祭り」

陽目の里子ども源流祭   

5月18日の10時から陽目の里のキャンプ場で「陽目の里こども源流祭り」が開催されました。
この二日ほどの雨模様のせいか、出だしは少ないようでしたが、時間がたつにつれ参加者が増えてきました。
 荻 子ども神楽から祭りは始まりました。人気はエノハのつかみ取りと、取ったエノハの塩焼き体験でした。
私は次の竜宮ノ滝を探すため、申し訳なかったのですが早めに引き上げました。

                                    2025-05-18撮影 

会場に向かいます
荻神楽から始まります
エノハのつかみ取りもできます
一匹200円でエノハの塩焼き体験ができます

ひな ための里 名水 茶屋 & キャンピングパーク

大野川の源流地として知られる荻町陽目(ひなため)には白水の滝があり、白水の滝への入り口には名水茶屋とキャンピングパークがあります。12月~3月ごろまでは茶屋は閉まっているようです。今年は源流祭りの1ヵ月前の4月18日から開いています。

キャンピングパーク

キャンプ場(コテージ、バンガロー、テント)があります。川では魚釣りもできます。今年の夏休みにはと考えている方はネットで陽目キャンピングパークを調べてはいかがでしょうか。

名水茶屋

 かって岡藩の藩主中川公も御茶屋(名水茶屋)を利用していたと伝えられています。


これから大野川を下る (祖母山系~白水ダム)



先に大野川の概要を知っておきたいと思います。
大野川は祖母山を源流として107㎞の九州では4番目の長さの川です。
また、宮崎、熊本、大分を3県をまたぎ、流域面積1465㎡の九州6番目の川です。

今回の調査で悩んだのは、大野川の出発点はどこかでした。
・水源とする祖母山からの最初の支流大谷川を始まりとするか。
・大野川源流の碑が立っている白水の滝とするか。
・ある地図によれば竜宮ノ滝までは大谷川、その下流が大野川とある。
・また、あるものではそれまでを大谷川とし白水ダムから下流を大野川としている。
私は専門家ではないのでわかりませんが大野川の発進はどこですか。と問うと「大野川は宮崎県の祖母山を源流としています。」と答えが出てきます。で、どこなんでしょう?


水源となる祖母山・傾山

大野川の水源は大分、宮崎に連なる祖母、傾山山系からの湧水です。

祖母山系

祖母山系に降った雨は支流の大谷川や緒方川に流れ込み、最後に大野川に合流します。

祖母山山頂付近

2016-10-30撮影 

祖母山頂 1756m
頂上より望む
右上が傾山
祖母山の雨は下流に流れていきます

傾山山系

山の北側斜面に降った雨は、大野川の支流である奥岳川や緒方川に流れ込み最後には大野川に合流します。

2017-07-02撮影 

傾山山山頂付近
傾山山頂
傾山山系を望む
傾山の雨も下流に流れていきます

祖母山系の水は大谷川から大野川へ

祖母山で降った雨は大谷川にも流れ込んでいきます。では大谷川の発進はどこになるのだろう。祖母山から白水の滝過ぎまでは大谷川になっています。この間は大野川の支流として扱うのでしょうか。それとも大野川の延長として考えるのでしょうか。公式には幹川流路延長107kmとなっているので河口から107㎞の地点なのでしょう。
とにかく、大谷川は白水の滝を落ち白水ダムに流れていきます。まずは白水の滝から白水ダムまでを辿ってみようと思います。(第一回大野川を下る)

地図

白水の滝から白水ダムまで

白水の滝

大谷川から来た水は白水の滝となって下流へと流れていきます。この白水の滝は荻町の陽目の里の奥にあります。陽目の里については前に書いているので白水の滝から始めようと思います。

白水の滝
白水の滝の特徴は岩間からほとばしり出る湧水にあり、滝の高さは38mあります。
かつて岡藩藩主の中川氏が、この滝を眺めるための御茶屋が設け、多くの文化人が詩を詠み、讃えたと言われています。
滝のいわれは、滝から流れ落ちる水は、幾筋もの白い糸のように見えることから「白水」と名付けられたという説や、かつて99本の滝筋があったため「百」から「一」を引いて「白水」と呼ばれるようになったという説があります。
大分県100景に選ばれており、2007年には国の登録記念物に登録されました。

滝までを歩く

白水の滝まで陽目の里入り口から約600m、今は新緑の中を横に川のせせらぎを聞きながら歩く最高の遊歩道です。

入り口の看板
秋には紅葉がきれいだろうと思われるモミジの新緑ゲート
川の流れ

山壁からはいたるところ、岩の亀裂から湧水が出ています。この水が大野川になっていくのでしょう。白水の滝もこの湧水が大きくなったものです。

白水の滝へ
母 滝


白水の滝から200mほど下流にある母滝は、白水の滝とは対照的な特徴を持つ滝です。
白水の滝は岩盤の間から湧き出す水なのに対し、母滝は白水の滝から流れ出た水が、比較的落差のある斜面を流れ落ちてきてできた滝です。白水の滝は落差38mのダイナミックな滝に対し、母滝は落差12mの穏やかな滝です。

母滝から滝までのルート
滝までのルート しっかりとした遊歩道ができています
白水の滝

38mの高さの白水の滝。周りの風景とマッチし神秘な気持ちになります。
白水の滝はよく見るような上部を流れてきた流水が落ちてくるものではなく、岩間からの湧水が落ちてくるものです。
かつてはもっと規模が大きく、富士山麓の白糸の滝と並び称されるほどの名瀑でしたが、農業用水の取水などにより水量が減少しかってほどのダイナミックな滝ではなくなったと言われています。

                                                    2025-0515 撮影
白水の滝付近

新緑の木々で薄暗くなり、岩肌には一面の苔が生え、幽玄の世界を描き出しています。

円形分水   

荻町の円形分水(正式名称:音無井路十二号分水)は、大野川水系の支流である大谷川から取水された音無井路という用水路の途中に設けられています。

大野川と円形分水の関係

  • 水源: 大野川からではなくその支流である大谷川から取水しています。
  • 音無井路: 大谷川から取水された水は音無井路という用水路を通って荻町方面へ運ばれます。
  • 分水の目的: 円形分水は、この音無井路を流れてきた農業用水を、下流の耕地に対して公平に分配するために造られました。

円形分水の役割

音無井路が完成した後、周辺の村々も大谷川からの取水を開始したため、水量が不足し、水の分配を巡って争いが絶えなくなりました。そこで、昭和9年(1934年)に、受益地の耕地面積に応じて水を公平に分配する目的で、円形の分水施設が設けられました。

円筒形の構造で、内側から湧き上がった水が外側の複数の 出口 から均等に流れ出る仕組みになっています。これにより、下流の農家は公平に水を利用できるようになり、水争いの解決に役立ちました。

このように、荻町の円形分水は、大野川水系の支流大谷川の水を、音無井路を通じて地域へ公平に分配するための重要な役割を果たしています。
陽目の里までここから車で2km、5分ほどだったと思います。

                                                   2025-05-15 撮影

       円形分水の歴史 
水は農家の魂なり 音無井路土地改良区

頭首工から円形分水に至約2,000mの暗渠に12か所の窓があることから12号分水と言う。
円形分水の出来るまでは三線の幹線水路に導入される水の分配で、互いに反目し合い、組合員が騒動を起こし、連日のように水争いが繰り返された。このようなことから円形分水が施工され、適正な分配ができるようになった。
円形分水は知恵の結晶とも言える。
歴史
1693年(元禄六年) 計画、着手したが諸般の事情で中止。
1893年(明治25年) 現在の円形分水まで通水。
1934年(昭和9年)  円形分水(十二号分水)竣工


円形分水・竜宮ノ滝・白水ダムの位置図

竜宮ノ滝

発見できず

大分県竹田市荻町にある竜宮ノ滝は、陽目(ひなた)渓谷を流れる大野川にかかる落差約4mの滝です。

しかし、近くまで行ったのですが、探し出すことができずに終わってしまいました。
もう一度、日を改めて挑戦したいと思います。

白水ダム(白水溜池堰堤) [国指定重要文化財]

今回10年ぶりに訪れてみました。しかし12月から翌年の6月6月上旬まで毎年溜池内土砂掘削作業がされており、右端のみの流水でした。
ちょっと残念でしたが、真っ白な水の流れは圧倒されるものがあります。雪が降り積もっているようにも見えます。「わが国で最も美しいダムの一つである。」と言われるのも頷けます。このように白く見えるのは施工で工夫がされているからだそうです。
それはダムの表面にブロック状の石を積んでおり、その凸凹の表面を水が流れることで小さな水しぶきや泡が多く発生し、それが太陽光を反射して白く見えるそうです。
そういう施工をしたのは、水が落ちる地盤が弱かったため凸凹のある表面を水が流れることにより、水の落ちる勢いをおさえるためだったといいます。

ダム全体を流れていた時の写真
2025-05-15 撮影

  白水ダム(白水溜池堰堤)
高さは14m、長さは87mあります。正式には白水溜池堰堤と呼びます。(ダムは15m以上のため)
このダムができたのは83年前の昭和13年です。設計は大分県土木技師の小野安夫です。(九重町出身)
追記しますと、小野安夫は平成5年91歳で亡くなっています。
平成11年5月13日に「国指定重要文化財」に指定されています。

下記の説明文が白水ダムの休憩所に貼られていましたが、それによると白水ダムまでは大谷川、白水ダムから下を大野川としています。



「第2回大野川源流をたどる」は竹田から犬飼を予定しています。