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竹田市荻町の白水の滝から白水ダムへと流れた大野川は竹田市内で玉木川や稲葉川と合流します。

竹田から緒方にかけての水系図

玉来川と言えば、2012年7月24日に発生した竹田水害(九州北部豪雨)が記憶に新しいと思います。その前の1990年にも豊肥水害があり竹田市ではこれらの水害を踏まえて稲葉ダムや玉来ダムの建設が進められました。その結果、稲葉ダムは2003年3月に着工し、2010年11月に完成しています。しかし、玉来ダムは政権交代による事業見直しや、地質上の課題があったことなどにより完成は2022年11月となりました。そのため、2012年の九州北部豪雨では稲葉川水系では浸水被害がなかったのに対し、玉来川水系では玉来川の氾濫により甚大な被害が発生しています。
 その後、玉来ダムは2022年に完成し貯水作業中に台風14号が発生しましたが、1990年の豊肥水害に匹敵する雨量だったにも関わらず玉来川下流の被害が発生していないことはこのダムの効果が大きかったと言えるのではないでしょうか。
<この2022年の竹田水害時には写真撮りに行ったのですがその時の写真を見つけることができずアップできなくて残念です。>

この二つのダムの建設により、昨年も台風時期の大量の雨が降りましたが、川添橋や高田橋を見た限りでは以前ほどの水位は上がっていませんでした。ダムの威力だったのでしょうか。

この二つの大きな支流が大野川に流れ込んでいます。この二つの川とダムを見てみたいと思います。

竹田の大野川への2大支流 稲葉川と玉来(たまらい)川

玉来川と玉来ダム

玉来川は熊本県の瀬の本高原を源流とし竹田市内を流れる延長34㎞の大野川水系の一級河川です。

玉来ダムは県内初の「流水型」ダムであり、普段は水をためず、必要な時に貯水することで洪水被害を軽減する役割を担っています。よく見るダムのような農業用水や工業用水などを貯めるためのダムではなく、治水専用のダムということになります。

※流水型ダム 洪水調節を目的としたダムの一種で、通常時には水を貯めず川の水を流し、洪水時にのみ水を貯えるようになっています。これにより、下流の洪水被害を軽減しつつ、河川の自然な流れを維持することができます。

下流より望む
上流より望む
竣工記念碑
堤体より上流を望む
堤体より下流を望む

稲葉川と稲葉ダム

稲葉川は久住山系を源流とし竹田市内を流れ大野川に合流する大野川水系の一級河川です。

稲葉ダムは堤体高さ56mの重力式コンクリートダムであり、治水や利水に利用されています。

  稲葉ダム 2018-3-31撮影
ダム内の看板より

大野川と玉来川の合流点

玉来川は竹田市玉来を通り大野川と合流します。その合流地点から数百メートル下流に魚住ダムがあります。

大野川と玉木川の合流地点
合流点より下流側(大野川)
大野川と玉来川の合流点
合流点より上流 玉来川

魚住ダム(竹田調整池堰)

大野川と玉来ダムの合流点から500mほど下流に魚住ダムがあります。ただ、魚住ダムと言いますが実際は竹田調整池堰と言い、堤体高が15m以下のためダムには分類されていないようです。通称で魚住ダムや竹田ダムと言われています。これからは魚住ダムですすめます。
魚住ダムは発電を目的にしたダムで昭和29年(1954年)に建設されました。高田は10.2mで洪水吐ゲートを8門備えています。あとで述べますが、ここで取水された水は稲葉川と大野川の合流点にある九州電力の竹田発電所までながれ、そこで発電されます。
なお、ここに魚住ダムができるまでは魚住の滝という名瀑があったそうです。写真にも撮っていますがその一端が今でも見られます。

魚住ダム上流
                                                     5月15日撮影
魚住の滝(魚住ダム下流)

先ほど書いたようにダムができるまでは魚住の滝があり、その滝は日本100景の一つと言われていたそうです。しかし、ダムができたためそのかっての景観ではなくなってしまったそうです。

魚住ダムの下流側
                                                                                  2025-05-18撮影
滝部分と下流側
滝部分

魚住ダムから竹田ダムへ 十川(そうかわ)柱状節理

魚住ダムで貯水された水は下流にある竹田ダムに送られそこで発電されます。発電所は1955年に運転を開始していますが、老朽化が進み、2019年から新竹田発電所を建設していました。そして2019年から最大出力が7,000kWから8,300kWへ増加(一般家庭約12,000世帯分に相当)して再開しています。
また、発電所のある場所は稲葉川との合流地点にもなり、そこは十川柱状節理でも有名です。

「おんせん県おおいた」のHPによると「柱状節理とは、マグマなどが冷え固まる際に柱状に入る亀裂のこと。この十川では、9万年前に起こった阿蘇山の大爆発の際、大量の火砕流が流れ込み、それが冷えて固まったものが見られる。河川に浸食されると角柱状に整然と崩れてくるが、江戸時代にはそれをさらに掘割り、ここに船を通していた。」 と書かれています。

竹田発電所と稲葉川

竹田発電所です。網越しですが。
鉄塔部が竹田発電所です
大野川と稲葉川の合流点
稲葉川と大野川の合流点 上部が稲葉川、下部が大野川 鉄塔が竹田発電所
合流点より上流
合流点より下流
十川の柱状節理

2025₋05₋18撮影

山間を流れてきた大野川 豊後大野市(大野町、緒方町等)の農地をゆったりと流れる


竹田から流れてきた大野川は大野町と緒方町の境となるべく平地を流れていきます。
この地区は大分県営広域営農団地農道整備事業 「大野川中流地区」<昭和55年~平成22年>によって整備された地域で、農地や道路が整備されてきました。
この地区に架けられた夏足(なたせ)大橋から見る風景はこれまで山間を流れてきた大野川とは趣を異にします。 

豊後大野市大野町の夏足大橋より大野川を望む

夏足大橋

開通記念碑と概要説明
上流から夏足大橋を眺める

夏足大橋から望む

夏足大橋から大野川下流を望む
夏足大橋から大野川上流を望む

夏足地区から夏足大橋を望む