台風シーズンを迎え、大分市から配布されている「洪水ハザードマップ」を確認された方も多いのではないでしょうか。
実はハザードマップをよく見ると、川沿いにいくつもの「樋管(ひかん)」や「樋門(ひもん)」、「排水ポンプ場」が描かれています。「名前は聞くけれど、実際にどこにあってどんな役割をしているの?」と気になったことはありませんか?
👉大分市洪水ハザードマップ
👉鶴﨑地区洪水ハザードマップ① 👉鶴﨑地区洪水ハザードマップ➁
そこで今回は、大分市鶴崎地区の水害対策を支えるこれらの排水施設を現地で調査し、写真に収めてきました。
第2回となる今回は、乙津川左岸エリア(松岡・明治・別保)にある排水施設の位置を紹介します。
乙津川左岸 (樋門・樋管・ポンプ場)一覧

国土交通省の河川維持管理計画をもとに編集してみました。
尚、国交省では排水ポンプ場を排水機場となっていますが、大分市では排水ポンプ場になっています。
上流側 → 下流側 (溢流堤~乙津橋までを記載 三ツ川方面は除いています)
| 順 | 地区 | 施設名 | 種別 | 設置・開始年 | 位置(距離標) | 樋管断面 | 連数 | 排水能力 | 管理者 |
| 1 | 松岡 | 北鼻川排水機場 | 排水機場 | 2008 | 8k790 | 14.0 m³/s | 国交省 | ||
| 2 | 松岡 | 大堀樋門 | 樋門・樋管 | 1988 | 8k790 | 3.20×3.20m | 3 | 国交省 | |
| 3 | 明治 | 谷川樋管 | 樋管 | 1959 | 7k965 | φ1,350 | 1 | 国交省 | |
| 4 | 明治 | 横尾第一樋管 | 樋管 | 1958 | 7k480 | φ800 | 1 | 国交省 | |
| 5 | 明治 | 横尾第二樋管 | 樋管 | 1988 | 7k100 | 2.50×2.50m | 2 | 国交省 | |
| 6 | 明治 | 横尾第三樋管 | 樋管 | 6k690 | 1.50×1.50m | 1 | 大分市 | ||
| 7 | 明治 | 鴨園川排水機場 | 排水機場 | 2007 | 6k190~6k200 | 4.0 m³/s | 国交省 | ||
| 8 | 明治 | 岩舟樋管 | 樋管 | 1986 | 6k190 | 2.75×2.75m | 2 | 国交省 | |
| 9 | 別保 | 森第二樋管 | 樋管 | 1976 | 5k875 | φ600 | 1 | 国交省 | |
| 10 | 別保 | 森第一樋管 | 樋管 | 1953 | 5k630 | φ600 | 1 | 国交省 | |
| 11 | 別保 | 森地区災害対策ポンプ場 | 災害対策ポンプ | 5k600付近 | 1.0 m³/s | 大分市 | |||
| 12 | 別保 | 皆春第二樋管 | 樋管 | 1988 | 4k650 | 1.75×2.00m | 1 | 国交省 | |
| 13 | 別保 | 皆春第一樋管 | 樋管 | 2003 | 4k170 | φ600 | 1 | 国交省 | |
| 14 | 別保 | 乙津第二樋管 | 樋管 | 1990 | 2k693~2k705 | 2.30×3.50m | 1 | 国交省 | |
| 15 | 別保 | 乙津第一樋管 | 樋管 | 1991 | 2k510 | 2.50×2.50m | 2 | 国交省 | |
| 16 | 別保 | 皆春雨水排水ポンプ場 | 雨水排水ポンプ場 | 2012 | 2k501 | 26.1 m³/s | 大分市 | ||
| 17 | 別保 | 乙津第三樋管 | 樋管 | 1957 | 2k175 | φ600 | 1 | 国交省 |
まず初めに(第一回記事から):樋管・樋門・水門・排水機場(排水ポンプ場)の違いとは
樋 菅
樋 門
水 門
特徴
ゲートが主役 比較的大規模なものが多い。
堤防の土を完全に分断し、門の上部に堤防(土手)がない。
操作設備(電動・油圧など)を備えることが多い
主な用途
洪水時に川の水をせき止める。
潮位上昇時に水の逆流を防ぐ
用途
大野川の本流が増水した際、支流へ水が逆流して街中が洪水になるのを防ぐために、ゲートを完全に閉めて遮断します。
排水ポンプ場(排水機場)
洪水により大野川の水位が上昇し、逆流するようになると樋門のゲートが閉じられ、内水が溜まり内水被害が発生します。その時に、内水を大野川へ強制的に排水するための施設が大型ポンプ施設(排水機場)です。
これによって床上・床下浸水の被害を減らします。

<参考>
迫排水機場: 5.0 m3/秒
(平成15年4月稼働)
堂園雨水排水ポンプ場: 9.1 m3/秒
(平成17年5月稼働)
関門雨水排水ポンプ場: 7.6 m3/秒
(平成17年6月稼働)
皆春雨水排水ポンプ場:26.1 m3/秒
(平成24年6月稼)
乙津川左岸「松岡・明治・別保」の排水施設
大野川乙津川分派と溢流堤
松岡の船本から大野川は大野川乙津川分派(分岐)を通り、二手に分かれます。


大津留溢流堤


溢流堤を過ぎ乙津川は別保、三佐を過ぎ別府湾は注ぎ込む

①・② 北鼻川排水ポンプ場&大堀樋門
溢流堤を過ぎ大津留橋があります。その松岡毛井側のふもとに北鼻川排水ポンプ場があります。その北側に大堀樋管があります。
この毛井地区も高田地区と同じように洪水により大きな水害にあった地区です。

①北鼻川排水ポンプ場 (松岡地区毛井)

この地区は多くの水害にあった地域で、水害対策として平成20年(2008年)に完成。
管理者 : 国土交通省 九州地方整備局
場所 : 大分市松岡毛井
排水能力: 排水能力毎秒14m³ (ポンプ 7.0 m³/s × 2台 )
完成 : 平成20年(2008年)6月
目的 : 内水氾濫の防止





②大堀樋門 (松岡地区毛井)

大堀樋門
- 管轄 :大分県
- 場所 :大分市松岡毛井
- 設置年:1988年(昭和63年)
- 断面 :3.20m × 3.20m × 3連
内水氾濫・逆流の防止
大雨の際、乙津川の水位が上昇したときに、北鼻川へ水が逆流するのを防ぎ、内水を排水ポンプで乙津川に強制排水をし、周辺の農地や集落を水害から守る役割を担っています。
入水側



放水側



大津留側から樋門を望む


③ 馬渡樋管

通常は内水を乙津川へ排出しますが、乙津川の水位が上がった場合には、乙津川の水が排水路を通って逆流するのを防ぐために閉鎖します。

馬渡樋管
・管轄 :大分市下水道課
・所在地:
・[樋管] :1.5×1.5m ×1連
[ゲート]
扉体寸法: 幅2.450×高さ2.475
開閉方式: 電動ラック 40KN
完成年月: 平成12年






④ 谷川樋管


- 管轄: 国土交通省 九州地方整備局
(大野川出張所)
[樋管]
・断面: φ1,350mm × 1連
・設置年:1958年(昭和33年) - ゲート型式:ステンレス製ローラゲート開閉方式 : 電動ラック 20KN
吞口寸法 : 横1.35m×高さ1.35m
完成年月 : 平成17年3月








⑤横尾第一樋管


横尾第一樋管
- 管轄:国土交通省大分河川国道事務所(大野川出張所))
- 樋管
・樋管断面:φ800mm × 1連
・設置年:1957年(昭和32年) - ゲート
ゲート型式: - 開閉方式 :フラップゲート
- 吞口寸法 :800×800 一門
- 完成年月 :平成17年3月
吞口 (山側)


はけ口 (川側)




⑥横尾第2樋管


横尾第二樋管
- 管轄:国土交通省九州地方整備局
[樋管]
断面:2.50m×2.50m 2連C-BOX
・設置年:1988年(昭和63年) - ゲート
・形式・RG(ローラーゲート)
・高さ2.5m×幅2.5m 2門 電動








⑦横尾第3樋管


横尾第三樋管
- 管轄:大分市
- 長さ: 24.5m
吞口寸法:横1.5m×高さ1.5m×1 - 完成年月 : 1993年3月
[ゲート]
型式:フラップゲート








⑧鴨園川排水ポンプ場
鴨園川排水ポンプ場は内水氾濫・治水対策のための排水施設(排水ポンプ場)です。
大雨や台風時に、鴨園川周辺の住宅地や農地などに水が溜まる(内水氾濫)のを防ぐため、集まった雨水をポンプで汲み上げて乙津川(大野川水系)へ放流する役割を果たしています。
主要設備: ・非常用自家発電設備 ・主排水ポンプ ・除塵機


鴨園川排水ポンプ場
- 管理者 : 国土交通省九州地方整備局
- 排水能力: 排水能力毎秒約10~m³
- 目的 : 内水氾濫の防止
- 完成 : 2007年(平成19年)3月
排水ポンプ場


横尾地区上流から集まった雨水は鴨園川を流れ、ポンプ場で木や枝を処理さえたのち、乙津川へポンプで排水されます。



⑨岩船樋管


岩舟樋管
- 管轄:国土交通省
- 吞口寸法:横2.75m×高さ2.75m
二連ボックスカルバート - 完成年月 :1986年(昭和61年)
ゲートに関しては情報なし。
岩舟樋管







森町樋管群

⑩森第二樋管


森第二樋管
- 管轄:国土交通省大分河川国道事務所(大野川出張所))
[ゲート] - ゲート型式: ステンレス製スライドゲート
- 扉体寸法 : 幅1.150m×高1.075m
- 完成年月 : 2000年3月(平成12年3月)
- 、河川水位が上昇した際には河川水が逆流しないよう、川側のゲートを閉鎖する構造です
- 第一樋管の一年後に製造されています。
[樋 管] ∮600一連 1952年完成
森第二樋管







⑪森第一樋管


森第一樋管
管轄:国土交通省大分河川国道事務所
[樋管]
・樋管断面:φ600
・設置年月日:1952年
[ゲート]
- ゲート型式:スライドゲート
- 扉体寸法 : 幅1.150m×高1.075m
- 完成年月 : 1999年3月(平成11年3月)
- 河川水位が上昇した際には河川水が逆流しないよう、川側のゲートを閉鎖する構造です



樋管捌け口


吞口・捌け口から乙津川へ


吞み口川の水路

⑫若宮防災対策ポンプ場

若宮防災対策ポンプ場
別保森に集まった雨水は森第一樋管の近くに設置された発電機とポンプ施設により乙津川へ排水される。
主に、洪水が発生し、森樋管からの逆流防止で樋管のゲートが閉められ内水が溜まり始めて稼働するようである。
管轄:大分市
場所:森 若宮団地周辺
最大排水量:2.0 m³/s
ポンプ:1.0 m³/s × 2基
- 第1期:平成18年6月(2006年6月) 当初1.0 m³/s
- 第2期:平成26年4月(2014年4月) 追加1.0 m³/s (計2.0 m³/s)
吞 口 側



はけ口 側


発電設備


⑬皆春第二樋管


- 管轄:国土交通省大分河川国道事務所(大野川出張所))
[樋 管] - 樋管断面 :1.75m × 2.00m × 1連
- 完成 :1987年(昭和62年)
[ゲート] - ゲート型式: 鋼製スライドゲート
- 扉体寸法 : 幅2.000m×高1.75m
- 完成年月 : 1999年3月(平成11年3月)
- 内水排水・乙津川からの逆流防止
皆春第二樋管







⑭皆春第一樋管


皆春第一樋管
- 管轄:国土交通省大分河川国道事務所(大野川出張所))
[樋 管] - 樋管断面 :∮600 × 1連
- 完成 :1952年(昭和27年)
[ゲート] - ゲート型式:
- 扉体寸法 : 幅0.600m×高0.600m 手動
- 乙津川の堤防を横断して設けられた
小規模な排水・排水路接続用の樋管
皆春第一樋管


はけ口側



呑み口側



⑮乙津第二樋管
乙津第一樋管も第二樋管も同じですが、
- 堤内地の雨水・排水を乙津川へ排出する
- 乙津川の水位が上昇した際にはゲートを閉める
- 河川水が堤内側へ逆流するのを防止する
という内水排除・逆流防止施設として機能しています。



乙津第二樋管
- 管轄:国土交通省大分河川国道事務所(大野川出張所))
[樋 管] - 樋管断面 :2.3m×3.5m × 1連
- 完成 :1990年3月(平成2年)
[ゲート] - ゲート型式:
- 扉体寸法 :
乙津第二樋管



ゲート部



放流部


周辺部



⑯乙津第一樋管


乙津第一樋管
- 管轄:国土交通省大分河川国道事務所(大野川出張所))
[樋 管] - 樋管断面 :2.50m×2.50m × 2連
- 完成 :1991年(平成3年)
第二樋管が一年前に完成しています
[ゲート] :3.000m × 3.300m×2門 - ゲート型式 : RG(ローラーゲート)
対岸より望む


第一樋管周辺



第一樋管


第一樋管ゲート部



第一樋管放流部




⑰皆春雨水排水ポンプ場
ポンプ場の役目は、台風や豪雨によって乙津川の水位そのものが上昇すると、第一・第二樋管のゲートを閉めなければなりません。しかし皆春地区などの市街地には大量の雨水が集まります。
ところがゲートを閉めると、今度は市街地側の雨水が外へ出せなくなります。そのためこのポンプ場で市街地側に溜まった雨水をポンプで乙津川へ排出します。


皆春雨水排水ポンプ場
- 管轄:国土交通省大分河川国道事務所(大野川出張所))
- 所在地 :大分市大字乙津28-1
- 敷地面積 :3,977㎡
- 計画最大排水量:26.1 m³/s
- 供用開始 :平成24年6月1日(2012年)



乙津川左岸ポンプ場(排水機場)の比較表
| 施設 | 対象 | 排水能力 | 完成・供用 |
|---|---|---|---|
| 北鼻川排水機場(ポンプ場) | 北鼻川→乙津川 | 14.0 m³/s | 2008年 |
| 鴨園川排水機場(ポンプ場) | 鴨園川→乙津川 | 4.0 m³/s | 2007年 |
| 若宮災害対策ポンプ | 森・若宮地区→乙津川 | 2.0 m³/s | 2006・2014年 |
| 皆春雨水排水ポンプ場 | 東部排水区→乙津川 | 26.1 m³/s | 2012年 |








